キーボードのいるロックバンドで、ハモンドオルガンを使わなかったバンドがいるのだろうか、と思うほど、ロックには不可欠なオルガン。そんなメジャーなハモンドオルガンだが、やっぱりトニーバンクスのチョイスは、ちょっと変わっているのだった。
ハモンドオルガン使いのキーボードプレイヤーというと、キースエマーソン、ジョンロード、リックウェイクマンという超メジャーなプレイヤーの名があがる。この3人が使っていたのが、C-3というモデルだった。それだけに、ロックにおけるハモンドオルガンの定番というと、このC-3ということになるのだが、そこはやっぱり我らがトニーバンクス、見事に外して違う型番のハモンドを使っている。
最初にトニーが使ったのが、L-122というモデル。このモデル、スピーカー内蔵型のオルガンであり、どちらかというと、ステージでミュージシャンが使うというより、家庭用のモデルのはずなのだが、トニーはこれが結構気に入っていたらしく、Trespass、Nursery Cryme、Foxtrot の初期の3枚のアルバムでこれを使っている。
Hammond Organ T-102
その後、1973年の Selling England By The Pound のレコーディングの時からは、T-102というモデルを入手して、1980年のDukeのレコーディング、ツアーの時まで、7年間もこれをずーっとスタジオとステージで使い続けるのだ。ところが、これまたT-102というモデルは、ハモンドの中でもかなりマイナーな機種のようだ。あるハモンドオルガン中古ショップのHPには「 T シリーズはお勧めしない」とのコメントがあったりしたので、一般的なハモンドオルガンマニアの間でも、それほど人気があるわけでもないようだし、何か機械的な欠陥があるような気さえするモデルである。
写真を見る限り、L-122と同じくスピーカー内蔵型のようであり、やっぱりトニーバンクスは、何かこだわりがあって、わざわざこのモデルを選んだのではないかと考えられる。そのこだわりが何かは正直よく分からないのだが、やっぱりこんなところがトニーバンクスなのである。
その後、Abacab のレコーディングからハモンドは使わなくなり、Abacab、Genesis の2枚のアルバムではオルガンらしい音はシンセサイザーを使っている。(このとき使われたのは恐らくProphet-10 というポリフォニックシンセサイザー)それ以降はサンプリングシンセサイザーが登場し、ハモンドの音色は常にサンプリングシンセで弾くようになったのだった。


